洗濯機や電子レンジを設置するとき、「アース線ってどこにつなぐの?」「うちのコンセントにはアースをつける場所がない」と困ったことはありませんか。3ピンプラグの家電を買ったら壁のコンセントが2つ穴だった、というのもよくある悩みです。
結論から言うと、コンセントのアースは、漏電したときの電気を地面に逃がして感電や火災を防ぐための安全装置です。アース端子やアース極のあるコンセントなら自分でアース線をつなげますが、アースのないコンセントに後からアースを設けるには電気工事士による工事が必要です。この記事では、アース付きコンセントの種類と見分け方、アース線の付け方、アースがない場合の対処法を解説します。電源タップ側のアース(3ピン)については「電源タップのアース(3ピン)とは?」で解説しています。
コンセントのアースの役割と種類
アースとは:漏れた電気を地面に逃がす安全装置
アース(接地)は、家電の内部で漏電が起きたときに、その電気を人の体ではなく地面へ逃がすための仕組みです。アースがつながっていれば、漏電した家電の金属部分に触れても、電気の多くはアース線を通って地面に流れるため、感電の危険を小さくできます。
パナソニックは、アース線は電気が外部に漏れ出た場合に漏電した電流を地面に逃がす働きをし、感電や火災事故を防止すると説明しています(パナソニック「家電のアース線とは?」)。とくに水気の多い場所では、濡れた手で家電に触れることもあり、アースの重要性が高まります。
アースが必要な家電・設置場所
アースをつなぐべき家電は、主に水回りで使うものや、大きな電力を使うものです。パナソニックは、エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、食器洗い乾燥機、洗濯機、衣類乾燥機、温水洗浄便座などを挙げています。
住宅の電気設備の民間規格である「内線規程」でも、洗濯機・冷蔵庫・電子レンジ用などの水回りのコンセントやエアコン用コンセントには、接地極付きのコンセントを使うことが義務化されていると、パナソニックの解説ページは紹介しています(パナソニック「電気設備の基礎知識 コンセント」)。キッチン・洗面所・トイレのコンセントにアース用の端子が付いていることが多いのはこのためです。
| 家電 | 主な設置場所 | アースの必要性 |
|---|---|---|
| 洗濯機・衣類乾燥機 | 洗面所・脱衣所 | 高い(水気が多い) |
| 冷蔵庫 | キッチン | 高い(結露・水気) |
| 電子レンジ・食洗機 | キッチン | 高い |
| 温水洗浄便座 | トイレ | 高い(水気が多い) |
| エアコン | 居室(専用コンセント) | 高い |
| パソコン・オーディオ機器 | 居室 | 機器の説明書に従う(ノイズ対策の場合も) |
アース付きコンセントの3つのタイプと見分け方
アース付きのコンセントには、大きく分けて「アース端子付き」「アース極付き」、その両方を備えた「アース端子付きアース極付き」の3タイプがあります。どのタイプかによって、アース線のつなぎ方が変わります。

| タイプ | 見た目の特徴 | アース線のつなぎ方 |
|---|---|---|
| アース端子(アースターミナル)付き | 差し込み口の下に、ふたやつまみの付いた小さな端子がある | 家電のアース線を端子に直接つなぐ |
| アース極(接地極)付き | 差し込み口の下に、半円形(U字型)の3つめの穴がある | 3ピンプラグをそのまま挿す |
| アース端子付きアース極付き | 3つめの穴とアース端子の両方がある | どちらの方式の家電にも対応 |
パナソニックの解説によると、アース極付きは主に持ち運ぶことのある機器(オフィスのパソコンなど)に、アース端子付きは設置後あまり動かさない機器(洗濯機や電子レンジなど)に使われます。
「2P15A」「接地側」などの表記の意味
コンセント本体には「2P 15A 125V」などの表記があります。「2P」は2極(差し込み口の穴が2つ)、「15A」は定格電流、「125V」は定格電圧を表し、一般的な家庭用コンセントの標準的な規格です。アース極付きのものは「2P 15A 125V 接地極付」のように表記されます。
また、よく見るとコンセントの左右の穴は長さが少し違います。パナソニックの解説によると、100V用コンセントは左側の穴が右側より2mm長く、電源の接地側を左側に接続するよう決められていて、左側には「W」の表示があります。この「接地側」はコンセントの配線上の決まりで、家電のアース線をつなぐ「アース」とは別のものです。
アース線の付け方と、アースがない場合の対処法
アース端子付きコンセントへのアース線の付け方
アース端子付きのコンセントであれば、家電のアース線は自分でつなげます。端子の形は主に3種類あり、パナソニックはそれぞれ次のようにつなぐと案内しています。

- つまみタイプ:つまみを緩め、アース線の先端を引っ掛けて、つまみを締める
- ふたタイプ:ふたを開け、ドライバーでネジを緩めて線を巻きつけ、再びネジを締める
- ワンタッチタイプ:レバーを押し上げ、穴にアース線を差し込んでレバーを下げる
- 家電の電源プラグをコンセントから抜いておく
- アース線の先端の被覆がむけて、銅線が出ていることを確認する
- 端子のタイプに合わせてアース線を固定し、軽く引っ張って抜けないことを確認する
- 最後に電源プラグを差し込む(アース線は「先につないで、後で外す」のが基本)
アース極付き(3つ穴)しかない場合
コンセントに3つめの穴(アース極)はあるものの、アース線をつなぐ端子がない場合は、変換アダプターを使えばアース線をつなげます。パナソニックは、アース極付きコンセントにはアースターミナル付きの変換アダプターを使って接続するよう案内しています(パナソニック よくあるご質問「洗濯機などのアース線はコンセントにどのように接続しますか」)。
変換アダプターを3つ穴に挿すと、アダプター側のアース端子にアース線をつなげるようになります。変換アダプターは家電量販店やホームセンターで手に入ります。
アース端子もアース極もない場合は工事が必要
コンセントにアース端子も3つめの穴もない場合は、自分で解決しようとせず、電気工事店に相談してください。アースを新たに設けるには壁の中の配線工事や接地工事が必要で、電気工事士の資格がないとできないためです。
パナソニックも、アースターミナルもアース極もない場合は別途配線工事が必要で、コンセントの交換や増設などの工事は専門の資格がないとできないと案内しています。賃貸住宅の場合は、まず管理会社や大家さんに相談しましょう。資格が必要な作業の範囲は「コンセントの口数の違いと増やす方法」でも触れています。
やってはいけないアースのつなぎ方
アースをつける場所がないからといって、身近な金属にアース線をつなぐのは絶対にやめてください。つなぐ先によっては、爆発や落雷時の事故につながる危険があるためです。
パナソニックは、ガス管・水道管・電話用のアース線・避雷針へのアース線の接続は、ガスへの引火や爆発、落雷時の事故などの危険があり、法令で禁止されているとしています。
- ガス管・水道管につなぐ:引火・爆発のおそれ。水道管も樹脂管の場合はアースとして機能しない
- 電話用のアース線・避雷針につなぐ:落雷時に大きな電流が流れ込む危険がある
- 3ピンプラグのアースピンを折る・曲げる:アースの機能が失われるうえ、プラグの破損にもつながる。2つ穴のコンセントに挿したいときは、3P→2P変換アダプターを使う
- アース線を切ったまま放置する:引っ越しの際に外したまま、というケースが多い。設置し直したら必ずつなぎ直す
3ピン→2ピン変換アダプターを使うときの注意
3ピンプラグの家電を2つ穴のコンセントで使うときは、3P→2P変換アダプターを使います。ただし、変換アダプターを挿しただけではアースはつながっていないことに注意してください。
多くの変換アダプターには、アース線(緑色の線)やアース用の金具が付いています。これをコンセントのアース端子につないで、はじめてアースが機能します。コンセントにアース端子がない場合、変換アダプターを使っても「アースなし」の状態になるため、水回りの家電などアースが必要な機器は、工事でアース端子を設けてから使うのが安全です。
アースと漏電遮断器の違い
アースとよく一緒に語られるのが「漏電遮断器(漏電ブレーカー)」です。どちらも漏電対策ですが、役割が異なり、両方がそろうことでより安全になります。
| 項目 | アース | 漏電遮断器 |
|---|---|---|
| 設置場所 | コンセント・家電 | 分電盤(一部はコンセントや電源タップに内蔵) |
| 役割 | 漏れた電気を地面へ逃がす | 漏電を検知して電気を自動で止める |
| 組み合わせの効果 | アースで漏れた電気の通り道ができることで、漏電遮断器が漏電を検知しやすくなる | |
コンセントまわりの異常(焦げ跡・発熱・火花など)に気づいた場合は、アースの有無にかかわらず使用をやめてください。見分け方は「コンセントの危険サイン完全ガイド」で解説しています。コンセントの形状全般は「コンセントの種類・形状を完全ガイド」をご覧ください。
コンセントのアースに関するよくある質問
- アース線をつながなくても家電は動きますか?
-
動きます。アースは家電を動かすための線ではなく、漏電したときの安全のための線だからです。ただし、アースがつながっていないと、漏電した際に感電するおそれが高まります。とくに洗濯機や温水洗浄便座など水回りの家電は、必ずつないでください。
- アース線をつなぐのに資格は必要ですか?
-
アース端子付きのコンセントや変換アダプターに家電のアース線をつなぐだけなら、資格は必要ありません。一方、アースのないコンセントにアースを新設する、壁に埋め込まれたコンセント自体を交換するといった作業は電気工事士の資格が必要です。
- アース線が短くてコンセントに届きません。
-
家電量販店やホームセンターで延長用のアース線が販売されています。接続部分が外れたり、断線したりしないよう、しっかり固定してください。
- なぜ一部の家電のプラグは3ピンなのですか?
-
3本目のピンがアース用で、コンセントに挿すだけでアースがつながるようにするためです。パソコンや業務用機器、海外仕様の機器などに多く見られます。2つ穴のコンセントで使う場合の注意点は、上記の「3ピン→2ピン変換アダプターを使うときの注意」を参照してください。
- アースをつなぐと電気代は変わりますか?
-
変わりません。アース線には通常は電気が流れず、漏電したときだけ電気が流れる仕組みだからです。
まとめ:コンセントのタイプを確かめて、アースは正しくつなぐ
コンセントのアースは、漏電したときの電気を地面に逃がし、感電や火災を防ぐための安全装置です。水回りの家電やエアコンなどは、アースをつないで使うのが基本です。
アース端子付きのコンセントなら自分でつなげ、3つ穴(アース極)だけの場合は変換アダプターを使います。アース端子も3つ穴もない場合は、ガス管や水道管などで代用せず、電気工事店にアース工事を依頼してください。
