飛行機に乗るとき、「モバイルバッテリーはスーツケースに入れていいの?」「容量に制限はあるの?」と迷ったことはありませんか。
モバイルバッテリーは、国内線・国際線を問わず必ず機内持ち込み手荷物に入れる必要があり、預け入れ(受託)手荷物に入れることは禁止されています。さらに2026年に入ってから、容量による個数制限や機内での取り扱いに関する新ルールが立て続けに追加されました。
この記事では、モバイルバッテリーの機内持ち込みルールを、最新の制度改正を踏まえて、初めて調べる方にも分かるように整理します。発火事故そのものの原因やサインについては「モバイルバッテリーはなぜ発火する?原因・前兆のサインと正しい対処法」もあわせてご覧ください。
結論:モバイルバッテリーは必ず「機内持ち込み」に
モバイルバッテリーに使われているリチウムイオン電池は、預け入れ荷物の貨物室で発火した場合、客室のように乗務員がすぐに気づいて対応することができません。このため、容量にかかわらずモバイルバッテリーを預け入れ手荷物に入れることは禁止されており、必ず機内に持ち込む必要があります。
この基本ルールは日系・外資系を問わず国際的に共通していますが、持ち込める容量や個数、機内での取り扱いには細かい規定があるため、順番に確認していきましょう。
容量(Wh)別の持ち込みルール
なぜmAhではなくWhで判断するのか
モバイルバッテリーの商品パッケージには「10000mAh」のように、mAh(ミリアンペアアワー)という単位で容量が書かれていることがほとんどです。ところが、航空機の持ち込み基準で使われるのは「Wh(ワットアワー、ワット時定格量)」という別の単位です。
これは、mAhだけでは製品ごとの電圧(V)の違いが反映されず、正確なエネルギー量(=どれだけの熱や火災のエネルギーを持っているか)を比較できないためです。Whは「電圧×電流(容量)」で計算される、エネルギー量そのものを表す単位のため、危険性を評価する国際基準として採用されています。そのため、パッケージにmAhしか書かれていない場合は、次の式でWhに換算する必要があります。
「Wh(ワット時定格量)」の調べ方
多くの製品は本体に直接Whの表示がありますが、mAhと電圧(V)しか書かれていない場合は、次の式で計算できます。
Wh(ワット時) = mAh ÷ 1000 × V(電圧)
モバイルバッテリーの多くは公称電圧3.7V前後のため、例えば20,000mAhの製品はおよそ74Wh(20,000÷1000×3.7)が目安になります。ただし製品によって電圧表示や換算方法が異なるため、正確な数値はメーカー公式サイトや取扱説明書の記載を確認してください。
容量ごとの持ち込み可否・個数
| ワット時定格量(Wh) | 持ち込み可否・個数の目安 |
|---|---|
| 100Wh以下 | 個数制限は設けられていないのが基本(航空会社により案内が異なる場合あり) |
| 100Wh超〜160Wh以下 | 1人2個まで |
| 160Wh超 | 持ち込み・預け入れともに不可 |
一般的なモバイルバッテリーの容量は数千mAh〜数万mAh程度で、多くは100Wh以下に収まりますが、大容量タイプ(数万mAh級)は100Whを超えることがあるため注意が必要です。100Wh以下であっても、航空会社によっては独自に個数の目安を案内していることがあるため、心配な場合は搭乗予定の航空会社に確認してください。
身の回りの製品はどれくらいの容量か
普段よく見かける容量の製品が、どのくらいのWhになるか目安を確認しておくと安心です(いずれも公称電圧3.7Vで計算した概算値です)。
| 容量(mAh) | Whの目安 | 区分 |
|---|---|---|
| 5,000mAh | 約18.5Wh | 100Wh以下(個数制限なし) |
| 10,000mAh | 約37Wh | 100Wh以下(個数制限なし) |
| 20,000mAh | 約74Wh | 100Wh以下(個数制限なし) |
| 27,000mAh | 約100Wh | 境界線付近(要確認) |
| 40,000mAh | 約148Wh | 100Wh超〜160Wh以下(2個まで) |
一般的な数千〜2万mAh程度のモバイルバッテリーであれば、ほとんどの場合100Whの基準内に収まり、通常の使い方で困ることは少ないでしょう。心配になりやすいのは、キャンプ・車中泊用などで販売されている3万mAh以上の大容量タイプです。この帯域の製品を持ち込む予定がある方は、事前にパッケージのWh表示を必ず確認してください。
2026年に入って追加された新ルール
近年、機内に持ち込まれたモバイルバッテリーが発煙・発火する事例が国内外で相次いだことを受け、国土交通省は2026年に2段階でルールを強化しました。
2026年4月24日〜:個数の明確化と機内充電の禁止
国土交通省の発表によると、2026年4月24日搭乗分から、モバイルバッテリーの機内持ち込みは160Wh以下のものに限り2個までと明確化されました。あわせて、次の行為が新たに禁止されています。
- 機内でモバイルバッテリー本体を充電すること(機内のコンセント・USBポートからモバイルバッテリーへの充電)
- モバイルバッテリーから他の電子機器を充電すること
違反した場合は罰則の対象になり得るとされており、単なるお願いではなく明確なルールとして運用されています。
2026年7月8日〜:収納棚への収納禁止・充電時のルール
続いて2026年7月8日からは、国内の航空会社に対して次の2点が協力要請事項として追加されました。
- モバイルバッテリーを座席上の収納棚(オーバーヘッドビン)に収納しないこと
- 機内でモバイルバッテリーから電子機器への充電、または機内電源からモバイルバッテリーへの充電を行う場合は、常に状態を確認できる場所で行うこと
座席から離れた収納棚の中で発煙・発火した場合、発見が遅れて対応が難しくなることが背景にあります。モバイルバッテリーは座席周り(座席ポケットや自分の手荷物の中など、目の届く場所)で保管してください。
これらの改正の詳細は、国土交通省の報道発表資料「モバイルバッテリーの機内持込みの新たなルールについて」「モバイルバッテリーを収納棚に入れないで!」で確認できます。
保安検査場ではどうなるのか
初めて飛行機に乗る方は、空港のセキュリティチェック(保安検査)でモバイルバッテリーがどう扱われるか分からず不安に感じるかもしれません。多くの空港では、手荷物をX線検査装置に通す際、モバイルバッテリーやノートパソコンなどの電子機器は、かばんから取り出してトレーに個別に置くよう求められます。
これは、かばんの中に他の荷物と一緒に入っていると、X線画像でリチウムイオン電池の内部が確認しにくくなるためです。空港によって細かい運用は異なるため、係員の案内に従って対応してください。持ち込み個数や容量が基準を超えている場合、この検査の段階で申告や没収を求められることもあります。
国内線・国際線・航空会社ごとの違い
ここまでのルールは国土交通省が示す基本方針ですが、実際の運用は航空会社ごとの案内に従う必要があります。特にLCC(格安航空会社)や外国の航空会社では、独自により厳しい基準を設けている場合があります。
- ANA・JALは、いずれも国土交通省の新ルールに準拠した案内を公式サイトで公開しています
- Peachなど国内LCCも同様の基準に従いますが、最新情報は搭乗前に各社の公式サイトで確認してください
- 海外の航空会社を利用する場合、日本の基準と異なることがあるため、搭乗する航空会社・乗り継ぎ国の規定を個別に確認してください
特に国際線を複数の航空会社で乗り継ぐ場合は、区間ごとに規定が異なる可能性があるため、余裕を持って各社に問い合わせておくと安心です。また、スマートフォンやノートパソコン本体に内蔵されているバッテリーは、モバイルバッテリー(予備電池)とは別の扱いになります。機器を使うために内蔵された電池は原則として今回のルールの対象外ですが、予備として持ち歩く単体のモバイルバッテリーは対象になる、という違いも覚えておいてください。
持ち込み時にやっておきたい安全対策
- 端子を絶縁する:金属部分がむき出しの予備電池は、ビニールテープで覆うか個別のビニール袋に入れてショートを防ぐ
- 膨張・破損したものは持ち込まない:発火リスクが高いため、そもそも旅行前に買い替えを検討する
- 圧迫される場所を避ける:キャリーケースの隙間など強い力がかかる場所での保管は避け、手荷物の中の取り出しやすい位置に入れる
膨張やその他の異常のサインについては「モバイルバッテリーはなぜ発火する?原因・前兆のサインと正しい対処法」で詳しく解説しています。
機内持ち込みに関するよくある質問
- うっかり預け入れ荷物に入れてしまったらどうなりますか?
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空港の手荷物検査で発見された場合、その場で取り出して手荷物に入れ直すよう求められるのが一般的です。発見されないまま貨物室に搭載されると、発火時に対応が遅れる重大なリスクがあるため、預ける前に必ず自分で確認する習慣をつけてください。
- 20,000mAhや40,000mAhのモバイルバッテリーは持ち込めますか?
-
公称電圧3.7V程度で計算すると、20,000mAhはおよそ74Wh、40,000mAhはおよそ148Whが目安となり、いずれも160Wh以下であれば持ち込み自体は可能です。ただし40,000mAh級は100Whを超える可能性が高く、その場合は2個までの制限が適用されます。正確なWh表示は本体やメーカー公式サイトで確認してください。
- 機内でモバイルバッテリーを使ってスマホを充電してもいいですか?
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2026年4月24日以降、モバイルバッテリーから他の電子機器への充電は禁止されています。また7月8日からは、やむを得ず充電する場合も座席上の収納棚ではなく、常に目の届く場所で行うことが求められています。基本的には機内での充電は控え、搭乗前に手持ちの機器を満充電にしておくことをおすすめします。
- 国際線の乗り継ぎがある場合、ルールはどうなりますか?
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区間ごとに搭乗する航空会社の規定が適用されるため、乗り継ぎがある場合は利用するすべての航空会社の公式サイトで規定を確認してください。国によっては日本より厳しい基準を設けていることもあります。
- デジタルカメラの予備バッテリーもモバイルバッテリーと同じ扱いですか?
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リチウムイオン電池を使った予備電池である点は同じで、預け入れ禁止・機内持ち込みという基本ルールも共通です。ワット時定格量による容量区分の考え方も同様に適用されるため、心配な場合は航空会社に確認してください。
- なぜここまでルールが厳しくなったのですか?
-
国内外で、機内に持ち込まれたモバイルバッテリーが発煙・発火する事例が相次いだためです。特に、収納棚の中など目の届かない場所での発火は発見が遅れやすく、対応が難しいことが問題視されました。国際民間航空機関(ICAO)による国際基準の改定も背景にあります。
- ルールを守らなかった場合、罰則はありますか?
-
2026年4月24日から追加された個数制限や機内充電の禁止については、違反した場合に罰則の対象となり得るとされています。詳細は国土交通省の報道発表資料や搭乗する航空会社の案内を確認してください。
- スマホやノートパソコン本体の内蔵バッテリーも個数制限の対象ですか?
-
いいえ。今回の個数制限は、予備として持ち歩く単体のモバイルバッテリーが対象です。スマートフォンやノートパソコン、タブレットなど、機器に内蔵されているバッテリーは対象外です。ただし、機器本体も預け入れ荷物には入れず機内に持ち込むことが推奨されている点は共通しています。
まとめ:預け入れ厳禁、容量と充電ルールの確認を
モバイルバッテリーは、容量にかかわらず預け入れ手荷物に入れることができず、必ず機内持ち込みにする必要があります。持ち込みは160Wh以下に限り2個まで、160Wh超は持ち込み自体ができません。一般的な数千〜2万mAh程度の製品であれば、ほとんどの場合この基準内に収まります。
2026年に入ってからは、機内でのモバイルバッテリーへの充電・モバイルバッテリーからの充電の禁止、座席上の収納棚への収納禁止といったルールが相次いで追加されました。搭乗前には、自分のモバイルバッテリーのWh表示を確認し、搭乗予定の航空会社の最新の公式情報も必ずあわせてチェックしてください。
発火の原因や前兆のサインについては「モバイルバッテリーはなぜ発火する?原因・前兆のサインと正しい対処法」もあわせてご覧ください。
