時計や体温計、キーレスリモコンなどで見かける小さな「ボタン電池」。いざ交換しようとすると、型番の種類が多くてどれを買えばいいのか分からなくなった経験はありませんか。
ボタン電池は、化学的な種類(アルカリボタン電池・酸化銀電池・空気亜鉛電池・リチウムコイン電池)と、直径・厚さを表す型番の組み合わせで数十種類に分かれています。この記事では、ボタン電池の基本的な仕組みから、型番の読み方、サイズ早見表、用途別のよくある型番まで、初めての方にも分かるように整理します。
ボタン電池の基本
ボタン電池とは
ボタン電池とは、円盤状で薄い形をした小型の一次電池(使い切りタイプの電池)の総称です。腕時計・体温計・キーレスリモコン・電卓・補聴器など、小型で長期間の待機が必要な機器に広く使われています。乾電池と同じ「使ったら交換する」タイプの電池ですが、機器を小型化するために円盤状の形状になっている点が特徴です。
化学的な種類と電圧の違い
一口に「ボタン電池」と言っても、内部の化学的な仕組みによっていくつかの種類に分かれ、電圧や特性が異なります。
| 種類 | 型番の頭文字 | 電圧 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| アルカリボタン電池 | LR | 1.5V | 電卓、おもちゃなど比較的消費電力が大きい機器 |
| 酸化銀電池 | SR | 1.55V | 腕時計など、長期間安定した電圧が必要な精密機器 |
| 空気亜鉛電池 | PR | 1.4V前後 | 補聴器 |
| リチウムコイン電池(二酸化マンガンリチウム) | CR | 3V | キーレスリモコン、マザーボード、体温計など |
特に注目したいのが電圧の違いです。CR(リチウムコイン電池)は3Vと、LR・SRの約2倍の電圧があります。同じサイズに見えても電圧が異なる電池を代用すると、機器が正常に動作しない、または過電圧で機器を傷める可能性があるため、指定された種類の電池を使うことが重要です。
補聴器用の空気亜鉛電池はシールをはがしてから使う
補聴器に使う空気亜鉛電池(PR)は、空気中の酸素を取り込んで発電する仕組みのため、ほかのボタン電池とは使い方が少し違います。電池の表面に貼られたシールで空気穴がふさがれており、シールをはがすと発電が始まります。
マクセルは、性能を保つため使うとき以外はシールをはがさないこと、シールをはがしてから約30秒後に使うことを案内しています。また、電池ホルダー部が密閉式の補聴器には使えないとしています(マクセル「補聴器専用ボタン形空気亜鉛電池(PR)」)。予備の電池は、使う直前までシールを付けたままにしておきましょう。
「ボタン電池」と「コイン電池」は同じもの?
「ボタン電池」と「コイン電池」は日常会話では同じ意味で使われることが多いですが、電池業界では区別して使われる場面があります。一般的には、アルカリボタン電池(LR)・酸化銀電池(SR)・空気亜鉛電池(PR)のような、比較的厚みのある円筒形のものを「ボタン電池」、CR2032のような薄い円盤形のリチウム電池を「コイン電池」と呼び分けることが多いです。この違いは、捨て方(回収先)にも関わってきます。詳しくは「ボタン電池の捨て方」で解説しています。
型番の見方とサイズ早見表
型番の数字が表す意味
ボタン電池の型番は、頭のアルファベット(電池の種類)に続く数字が、直径と厚さを表しています。例えば「CR2032」の場合、最初の2桁「20」が直径20mmを、続く2桁「32」が厚さ3.2mmを意味します。同様に「CR2025」は直径20mm・厚さ2.5mmです。「2025と2032の違いは?」と迷ったときは、この数字の意味を思い出せば、直径は同じで厚さが異なる電池だと分かります。
この規則を知っておくと、初めて見る型番でもおおよそのサイズを推測できるようになります。ただし、LR41やAG13のように、この数字ルールに当てはまらない独自の型番体系を使う種類もあるため、正確なサイズは次の早見表やパッケージの記載で確認してください。
主な型番のサイズ早見表
| 型番 | 種類 | 直径×厚さ | 電圧 | 互換型番 |
|---|---|---|---|---|
| LR44 | アルカリボタン電池 | 11.6×5.4mm | 1.5V | AG13、357 |
| LR41 | アルカリボタン電池 | 7.9×3.6mm | 1.5V | AG3、392 |
| LR1130 | アルカリボタン電池 | 11.6×3.05mm | 1.5V | AG10、389 |
| SR626SW | 酸化銀電池 | 6.8×2.6mm | 1.55V | 377 |
| CR2032 | リチウムコイン電池 | 20×3.2mm | 3V | — |
| CR2025 | リチウムコイン電池 | 20×2.5mm | 3V | — |
| CR2016 | リチウムコイン電池 | 20×1.6mm | 3V | — |
| CR1620 | リチウムコイン電池 | 16×2.0mm | 3V | — |
| CR1220 | リチウムコイン電池 | 12×2.0mm | 3V | — |
| CR1632 | リチウムコイン電池 | 16×3.2mm | 3V | — |
| CR1616 | リチウムコイン電池 | 16×1.6mm | 3V | — |
| L1154F(=LR44系) | アルカリボタン電池 | 11.6×5.4mm | 1.5V | LR44、AG13 |
表の「互換型番」は、同じ電圧・同じサイズ規格で異なるメーカーが独自に付けている呼び名です。ただし、互換とされる型番でも、メーカーによって微妙に容量や特性が異なることがあるため、精密機器で心配な場合は、もともと入っていた電池と同じ型番を選ぶのが確実です。
サイズが分からないときの調べ方
手元に古い電池がなく、型番も分からない場合は、次の方法で調べられます。
- 機器の取扱説明書に記載の「対応電池」欄を確認する
- 電池ホルダーの内側や機器の裏面に、対応型番が刻印されていないか確認する
- メーカー公式サイトの製品仕様ページで「電源」「使用電池」の項目を検索する
どうしても分からない場合は、家電量販店や時計店に古い電池を持参し、店員に相談すると、現物と照らし合わせて同じ型番を見つけてもらえます。
用途別のよくある型番
| 用途 | よく使われる型番の傾向 |
|---|---|
| 腕時計 | SR626SW、SR621SWなど酸化銀電池が中心(電圧の安定性を重視) |
| 体温計 | LR41、CR2032など機種によって異なる |
| キーレスリモコン・車の鍵 | CR2032、CR2025などリチウムコイン電池が中心 |
| マザーボード(パソコン) | CR2032(BIOS/UEFIの設定保持用) |
| ペンライト・キンブレ(コンサートライト) | CR2032、CR2025など機種によって異なる |
パソコンのマザーボードに使われているボタン電池は、電源を切っても内蔵時計やBIOS設定を保持するためのもので、一般的にCR2032が広く採用されています。交換の際は、パソコン内部の静電気対策(金属に触れて放電する、電源プラグを抜く)を行ってから作業してください。
時計用の「SR626SW」と「SR626W」の違い
腕時計用の酸化銀電池には、型番の最後が「SW」のものと「W」のものがあります。大きさは同じでも、想定している使い方が違うため、同じ品名の電池と交換するのが基本です。
| 型番の末尾 | タイプ | 向いている時計 |
|---|---|---|
| W(例:SR626W) | 比較的大きな電流に対応するタイプ | アラーム・ライトなどの機能があるデジタル時計・多機能時計 |
| SW(例:SR626SW) | 軽い負荷用のローレートタイプ | アナログ時計 |
マクセルは、デジタル時計にSWタイプの電池を入れると機能が正常に働かなかったり、時計が止まったりする原因になるとして、デジタルや多機能時計にはWタイプ、アナログ時計にはSWタイプを使うよう案内しています(マクセル よくあるご質問)。
購入・保管・寿命の基礎知識
価格の目安
ボタン電池1個あたりの価格は、種類や購入先によって幅があります。リチウムコイン電池(CR2032など)はアルカリボタン電池より高めの傾向があり、コンビニでは1個250〜400円程度、100均では複数個パックで割安に購入できます。詳しい購入先別の比較は「ボタン電池はどこで買える?」で解説しています。
寿命の目安
ボタン電池の寿命は、電池の種類や機器の消費電力によって大きく異なります。腕時計のように消費電力が小さい機器では1〜3年程度使えることが多い一方、ペンライトのように発光に使う機器では数時間〜数十時間で消耗することもあります。「思ったより早く切れた」と感じる場合は、電池の寿命というより機器側の消費電力が大きいケースが多いため、機器の取扱説明書で目安の使用時間を確認してみてください。
保管方法
未使用のボタン電池は、直射日光を避けた涼しく乾燥した場所で保管してください。複数個をまとめて保管する際は、プラスチックケースなど電池同士が直接触れ合わない容器に入れると、輸送中や保管中の接触によるショートを防げます。使用推奨期限が長い電池ですが、購入時にパッケージの期限も確認しておくと安心です。
液漏れ・膨張のサインを見逃さない
電池の交換時に、電極まわりに白い粉が付いていたり、電池自体がふくらんでいたりする場合は、内部の化学変化が進んでいるサインです。無理に使い続けず、後述の捨て方に沿って処分してください。詳しい対応は「ボタン電池の捨て方」で解説しています。
ボタン電池に関するよくある質問
- ボタン電池は充電できますか?
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一般的なボタン電池(LR/SR/PR/CR)は、使い切ったら再充電できない一次電池です。充電式のボタン形電池も一部存在しますが、通常のボタン電池ホルダーで代用しようとすると電圧が合わず機器が正常に動作しないことがあるため、機器が対応している場合を除いて混用は避けてください。
- LR44とAG13は同じものですか?
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はい、LR44とAG13は同じサイズ・電圧のアルカリボタン電池で、メーカーによって呼び名が異なるだけの互換品として扱われることが一般的です。ただし細かい特性差がある場合もあるため、精密機器では元の型番を優先してください。
- CR2032の代わりにLR44を使ってもいいですか?
-
おすすめできません。CR2032は3V、LR44は1.5Vと電圧が異なり、直径や厚さも一致しないため、機器に入らない、または電圧不足・過電圧で正常に動作しない可能性があります。必ず機器が指定する型番を使用してください。
- ボタン電池に使用期限はありますか?
-
はい、未使用の状態でも自己放電により少しずつ性能が落ちるため、パッケージに使用推奨期限が記載されています。長期間ストックする場合は、期限が近いものから使うようにしてください。
- 型番が分からないとき、現物を持って店に行けば教えてもらえますか?
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はい、家電量販店や時計店では、古い電池の現物を見せれば、サイズや刻印から適合する型番を案内してもらえることが多いです。購入前に持参することをおすすめします。
まとめ:種類・サイズ・電圧の3点を確認して選ぶ
ボタン電池は、アルカリボタン電池(LR)・酸化銀電池(SR)・空気亜鉛電池(PR)・リチウムコイン電池(CR)という化学的な種類と、直径・厚さを表す型番の組み合わせで多くのバリエーションがあります。型番の数字は直径と厚さを表しているため、仕組みを知っておくと初めて見る型番でもサイズを推測しやすくなります。
電池を選ぶときは、種類・サイズ・電圧の3点が機器の指定と一致しているかを必ず確認してください。分からない場合は、古い電池を店舗に持参して相談するのが確実です。具体的な入れ方や購入場所、捨て方については、「ボタン電池の入れ方・向きの見分け方」「ボタン電池はどこで買える?」「ボタン電池の捨て方」もあわせてご覧ください。
